『トガビトノセンリツ』紹介 

『トガビトノセンリツ』紹介


征史郎
「うちの阿呆が失礼した。引き続き、そちらにもお願いしたい」

七緒
(びくんびくんびくん)

まい
「…………」

レイ
“…………ええと、【ピー――――――――】やっぱりだめなんですね! 黙ります!”


「? まあいいわ、ここはルナに任せようかしら」


(どひゅん!)


「また狙撃された!? 確かにちょっと刺激がつよいかもしれないけどさ!!」

ルナ
「ん……がんばる……! この場にいない人は、ちょっと黙ってて……!」

ルナ
「それじゃあ、行く」

和馬
「……遠くからむせび泣く声が聞こえんだが……大丈夫かよ」

まい
「いーのさ!」




ルナ
「『トガビトノセンリツ』は、『鈍色』の好評を受けて、2011年に携帯電話向けに発売されたゲームアプリ。デスゲームもの、というコンセプトをはじめとして、色々な面を『鈍色』から受け継ぎながら、いろんな面で差別化・改良を試みてる……」

ルナ
「比較として、共通点と相違点をそれぞれ挙げていくね」

ルナ
「まず、『トガビト』は『鈍色』と同じく、親しい人間同士のデスゲームを描いてる。部活のメンバーってことで学年層は広めだけど、『知人同士が丸ごと拉致されて殺し合いをさせられる』という表現をすれば、まったく一緒……」

ルナ
「さらに、コメディシーンやサスペンスシーンなど様々なシーンが描かれ、要所で選択肢を選べるっていうのも同じ」

ルナ
「『トガビト』では『プリズナーゲーム』っていうゲームが行われるんだけど、これにも人狼ゲームに似た要素があって、伏せられた役割を推理するって要素がある。似てるところは、こんなかんじ……だけど、一度やってみれば、中身は全然違うって、わかると思うの」

ルナ
「プリズナーゲームは、壁1つ隔てた相手が誰であるかを推測して情報を探るってルールがある。また、そもそもプレイヤーが『看守』と『囚人』に分かれてて、看守にはより良い設備と、囚人を痛めつける装備なんかが与えられる。これにより、疑念や怨恨を煽って、人間関係の対立を深めさせようって意図がある」

ルナ
「そもそも『トガビト』の登場人物たちは、みんなはじめからどこか精神的に病んでたり、おかしかったりする。単に仲がいいだけじゃなくて、いろんな家庭の問題や、過去の因縁を抱えてる。みんな普段はそれを隠してるけど、プリズナーゲームが疑心暗鬼を煽るせいで、それがちょっとずつ表に出てくる」

ルナ
「それによって……『トガビト』では、よりサイコ的というか、人間の裏面とか、狂気とか、そういうのがメインになる」

ルナ
「象徴的なキーワードが『呪い』。『とがびとのせんりつ』という名前の不思議なメロディーや、悪意的としか思えない不幸な偶然の数々は、彼らの命運に『呪い』の影を深く落とす。主人公の竹井和馬……あ……ごめん、呼び捨ていい?」

和馬
「気にすんな」

ルナ
「うん、和馬の『呪い』に関する独自の解釈とかもあって、語り口はどこか暗く、不気味なかんじになってるの」

ルナ
「……仲間が死んでいく描写も、ちょっとキツめ。絵はないけど、文章だけでいうと、かなりギリギリなかんじの描写だから、気を付けて……」

ルナ
「総じて、『鈍色』がストーリーの主軸を『バタフライゲームの攻略』に重点を置いていたのに対して、『トガビト』は『人間関係の攻略』を主軸にしてると思うの」

ルナ
「他にも、バッドエンドのパターンが増えてるとか、微妙にマルチエンドっぽくなってるとか、可能な範囲ではあるけど色々がんばってるらしい……」

ルナ
「こんな感じだけど、どうかな」

レイ
“だいたい合ってると思います。その他、ちょっとした違いもあるんだけれど、言っていい?”

ルナ
「なに?」

レイ
“では……『鈍色』で、『隠しモード』というものが採用されました。これは1周目ではネタバレとなる首謀者の心の声やその他裏で起きていたさまざまなシーンが、2周目以降、キャラの心の声として表示可能になるってものなんですが、これは『トガビト』でも採用されてますね?”

征史郎
「そうだな、読者からの反響も悪くなかったとのことで」

レイ
“ですよね。実は『鈍色』の企画進行段階で急きょ発案されたものなんですが、『トガビト』ではプロット段階から隠しモードのことを念頭に書かれているらしくて、その結果『2周目で明らかになる謎』がかなり大きいんですね。視点も、隠しモードなしでは竹井さん視点のみに限られてますし”

ルナ
「そう……最終的には、『トガビト』は、2周しないと真のエンディングを見られないつくりになってるの」


「そうなんですよ!! たまーに1周して『鬱すぎる』って投げちゃう人がいるみたいなんですけど、ぜひ2周してほしいです!!」

彩音
「2周しても鬱すぎるって声も結構あるぞぅ……」


「『トガビト』勢は割り込んでんじゃないわよー。要するに、『鈍色』は明るくて『トガビト』は暗いってことでいいかしら!」

七緒
「悪口じゃないか!!」


「さっきのお返しよ!! まい、向こうの人物評価をあることないこと並べてあげなさい!!」

まい
「よしきた!! KAZMAXこと竹井和馬ちんは悪ぶってるわりに小難しいこと考えっぱなしの変態だね! その親友の城本の征ちゃんは大人しげな外見に反していい感じにキレた変態だよね! 雪村みことちゃんはメインヒロインに見せかけた変態だし、雄ヶ原の蓮ちゃんはテンパり気味の変態で悠クンは姉のツッコミ役と思いきや変態! 井之上亮也くんはイケメンヅラした変態で萩尾エレナっちはギャルを装った変態なうえ向島七緒クンはまじめぶってるけどド変態で並坂千鶴先生は超のつく変態、西条彩音先輩は変態を超えた邪悪なる何か!! まともなのは鳩田くるみチャン(11歳)くらいだっていうね!!」

つばさ
「……鷺ノ宮さん、紹介者を誤ったんじゃないか?」


「変態でひとくくりは無理があるわよ……」

征史郎
「どっこい的外れすぎもしないというのが辛いところ。いや、エレナはあれで割と常識人なのでそこはお間違えなく」

七緒
「僕が変態だってのはどういうことだああああ!!」

彩音
「それはこの場の誰も否定せんぞー」

和馬
「あー(ドン引き)」


「わ、私は応援しますよ! むしろ推奨です!! でもうちの自慢の弟まで巻き込むなーー!!」

七緒
「むちゃくちゃだあああ!!!」

征史郎
「……ううむ、友好の懸け橋となるはずの相互紹介コーナーがなぜ血に染まってしまったのか」

ルナ
「引き金を引いたのはそっち……」

和馬
「もーこいつ差し出すから勘弁してくれねーか」

七緒
「竹井先輩!?」

つばさ
「男子なんざもらっても仕方ないわ!!」

まい
「つばさ、【ピー―――】

つばさ
【ピー――――――――――】

まい
「というわけで、今からすっぽんぽんに剥くんで」

七緒
「なんでだああああああああああああああああああああ!!」

『トガビトノセンリツ』紹介 


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