検証! バタフライゲーム!! 

検証! バタフライゲーム!!



「はい、ひどい時間は終了! 切り替えましょ! ここの司会は巴だっけ?」


「ああ。にっくきバタフライゲームに関して、よもやま話を語っていくコーナーだそうだ」

つばさ
「と言っても、さっきのコーナーで既に1つ出ちゃったんじゃない?」

璃々子
「当初は誰も死なない予定だった、ってやつですね」

ルナ
「多分それが一番おっきなサプライズだったと思う」

大介
「後は何があったっけか」


「じゃあ、まずはこれだな」

(1)そもそも何で『バタフライ』って名前がついたの?



「ってことだけど……これ、作中で説明されてなかった?」

まい
「誰かさんの趣味だ、ってやつだね」

レイ
“企画段階のことをいうと、実は『バタフライ効果』からの着想らしいですよ”


「へえ、カオス理論の?」

ルナ
「ブラジルのちょうちょの羽ばたきが、アメリカで竜巻になるの」


「転じて、ちょっとした誤解やすれ違いが、予測不能な人間関係の破局に繋がることを暗喩してるそうだ」

祐二
「……大介、任せた。俺にゃサッパリだ」

大介
「まあアレだ。こういうのは原作者の取り分ってやつだから、分からなくても問題ないって」

ルナ
「結果的に色々なモチーフに繋がったから、悪くなかったの」


「ところがどっこい、着想時はともかく、これを企画に落とし込むのが結構大変だったようだね」

つばさ
「ぶっちゃけると、趣味がどうのとかは、完全にタイトル合わせの後付け設定らしい」

まい
「うわー、ぶっちゃけるねえ」


「というわけで、次のコーナーに続くわけだ」

(2)蝶のモチーフについて


璃々子
「ああ、ありましたね。バタフライゲームの役割にあわせてチョウチョのグラフィックが」


「うん。バタフライゲームっていう名前に合わせて、ライターが必死にそれらしい蝶を探したらしい」

つばさ
「フレーバーとしてどれだけ有効だったかは未知数だけどね……本編中ではあんまり言及されないし」


「そんなわけで、せっかくだからここで蝶に関するウンチクを披露しようってことらしい」





共有者(Asian Swallowtail & Oldworld Swallowtail)について
アゲハチョウ



「それぞれナミアゲハとキアゲハ。いわゆるアゲハチョウとして有名な2種類の蝶だね」

祐二
「アレだ。幼虫がくせー角出すやつだ」

璃々子
「うちの山椒にいっぱい幼虫がつくんで、対処が大変なのよね」


「成虫はゴージャスで綺麗だから、私は好きだけどね」

ルナ
「CGでは色を変えてあるけど、実際の蝶はほとんどそっくりなの」


「そうそう。羽の模様の違いで見分けることはできるけどな」

つばさ
「モチーフとしてはやっぱり、そっくりだ、ってところ?」


「そうみたいだな。似てるけど異種だから交配できない。所詮は他人、ってところかな」


診断者(Psyche)について
プシュケ



「英名プシュケ、和名クロテンシロチョウ、らしい」

祐二
「しらねーなあ」


「日本にはいないんじゃなかったかしら?」

ルナ
「石垣島とかにはいるらしい」

璃々子
「……なんでこんなにマイナーな蝶をモチーフにしたのかしら?」

レイ
“プシュケ、っていうのは、ギリシャ語でそのものズバリ蝶のことらしいのですが、同時に魂って意味があるそうで……これ、ヘルプにも書いてありますね”


「ちなみに、当初は本編中でちょっと出た『アポロチョウ』が候補だったらしいよ。こっちは比較的派手な蝶だ」

まい
「なんでそっちにならなかったのさ?」

ルナ
「……地中海方面に生息する蝶だからプシュケ呼ばわりされてる例もあるだろ、とタカをくくって候補に入れたけど、そんなことは無かったぜ、ってライターが言ってた……」

つばさ
「ダメすぎる……」





守護者(Malayan Eggfly)
ヤエヤマムラサキ



「ヤエヤマムラサキ。卵を守る特徴的な性質がモチーフになったのは、ヘルプの通りだね」

まい
「キレイな蝶だよねえ……」

大介
「メスはキレイだけど、オスは凄く地味らしいぞ」





交換者(Blue Morpho Butterfly)
メネラウスモルフォ



「いわゆるモルフォ蝶。自然モノのテレビ番組とかで見た人もいるかもな」


「森の宝石って呼ばれる奴の中でも、最もポピュラーな『メネラウスモルフォ』をピックアップしたそうだ」

祐二
「本編中にも出てきたよな、その名前」


「ああ。その美しさからコレクション対象としても人気だってさ」


「交換者としてのモチーフは、これもヘルプの通り。攻撃を逸らすとか、脅すとかね」

ルナ
「首謀者にとって、交換者の能力は危険だから」


「ところで、モルフォ蝶は、さっきのと違って、オスが派手で、メスは地味だそうよ」

璃々子
「生き物の生殖戦略って、多種多様ですねえ」

レイ
“あら、人間だってそうじゃないです?”

つばさ
「よし、試してみようか」

レイ
“命の保証はできませんよ♪”

つばさ
「……ねえ、鷹瀬さんはこの方向性でホントにいいの?」

大介
「う、うーん……」


造反者(Tree Nymph Butterfly)
オオゴマダラ



「オオゴマダラ、らしい。熱帯植物園とかで結構見られるみたい」


「これもヘルプにある通り?」


「まあ、そうだね。毒を持つってのが、危険な役割だってのを示してる」

璃々子
「新聞蝶、って異名もあるみたいですが」


「もともと、ヘルプには、蝶のグラフィックと一緒に担当者がひねり出したポエムみたいなのをつけようって案があってね」


「その時『今日も新聞を読んで一喜一憂』みたいなフレーズが入ってたみたいだね」


「ああ、首謀者からの命令か……」





隠遁者(Tiger Moth)
ヒトリガ



「ガだ」


「ガね」

レイ
“ガですね”

ルナ
「〜〜〜〜〜〜!! 〜〜〜〜〜〜!!!」

璃々子
「ど、どうしたのルナちゃん!?」


「……ルナは、ガって聞くと笑いが止まらなくなるんだ」

つばさ
「ガで?」

祐二
「まあ、何かガって響きが面白いよな」

大介
「1文字だしな、ガ」

璃々子
「ガ?」

まい
「ガ」


「ガ」

ルナ
「〜〜〜〜〜い、いきが……!!」


「かわいい……いや、まあ、おいといて」


「これは地方だと普通に見られるガだよ」


「ヘルプを見る限り、なんか色々言葉がかけてあるみたいね」


「そう。ヒトリガは本来、光に集まるから『灯盗り蛾』なんだ。これを、うまいところで首謀者の獲物をかすめとる感じで表したかったらしい」


「あとは、他は蝶なのに『独り、蛾』、って感じ」


「まあ確かに、ちょっと他の役割と比べても異質だしねえ」

祐二
「ガだからな」

まい
「ガじゃしょうがない」

つばさ
「ガ」

大介
「ガ」


「ガ」

ルナ
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」





首謀者(Drury Swallowtail)
ドルーリイ



「ドルーリイオオアゲハだ。説明不要、最強の毒蝶だってさ」

つばさ
「結構インパクトある見た目だよね。でかいし」

大介
「これも本文中でちらっと名前が出てたな」

レイ
“ちなみに、別の候補として、『ゴイシシジミ』って蝶もあったそうです”

ルナ
「ごいしじみ……?」


「ゴイシシジミだよ」

つばさ
「幼虫が肉食性だから、仲間を手にかける首謀者のイメージと合ってるってことで候補に挙がったらしいね。あんまり地味だから没になったけど」

レイ
“興味がある人は、検索してみるといいかもしれません”

ルナ
「ご、ごいしししじみ、ごいしめじ、ごししみじ……」

つばさ
「ガ」

祐二
「ガ」

ルナ
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

大介
「何だこの流れ」





犠牲者(Small White)
モンシロチョウ



「モンシロチョウ。まあ、説明不要だろう」

大介
「春の畑に行くと、いくらでもいるよな」

つばさ
「……畑に行くって発想が、既に都会人には絶無だけどね」

大介
「あああっとしまった、ライターのお里が知れちまう!」

璃々子
「まあまあ。イメージ的に、無力ではかないって感じなのかしら」

まい
「まい的には結構タフでしたたかなイメージがあるんだけどねえ」

(3)シュメッタリング・ヒュンフって何?


大介
「どっかで見たな、それ」

まい
「ああ、あのどっかよく分からない場所で誰かよく分からない連中が喋ってたやつか!」

ルナ
「……Schmetterlingはドイツ語で『ちょうちょ』」

祐二
「!? お前そんなのまで分かんのかよ!」

ルナ
「……アインス(Eins)は1、ツヴァイ(Zwei)は2、フュンフ(Funf、uは¨つき)は5、ぜクス(Sechs)は6、ジーベン(Sieben)は7。これ以上説明したらネタばれになるから言わない」

祐二
「すげーな」

ルナ
「だてに向こうで飛び級してない」


「ルナはペンタリンガルなんだ」

祐二
「……ペンタリ?」

璃々子
「5ヶ国語喋れる人って意味ね」


「日本語とドイツ語とフランス語と英語と……あら? あと1個は?」

ルナ
「えいえんのひみつ」

(4)バタフライゲーム必勝法


まい
「……ついに言っちゃうのか、これを」


「んー、まあ、段取り的にな」

祐二
「はあ!? そんなもんがあったのか!?」

大介
「俺も知らないぞ! その通りにすれば勝てるってのか!?」

つばさ
「はっはっは。実際のところ、ルナの言う『欠陥ゲーム』ってのは間違ってないのさ。このゲーム、命がかかってなければ軽くブレイクできるんだ」

ルナ
「……あの場で思いつかなかったのは不覚」

璃々子
「私はぜんぜん思いつきませんけど……」


「……んー、まあ、言ってみたら? 何となく想像つくわ」

レイ
“あ、私、挑戦してみてもいいですか?”


「いいよ? 間違ってたらそう言うから」





0.前提として、残念ながら犠牲者は助けられません。犠牲者以外を確定し、首謀者を告発してのゲームクリアを目指すことになります。また、首謀者を除く全員が協力的である必要があります。
 
共共診守交造隠首犠
????????死



1.まず、全員に『自分は造反者だ』と発言してもらいます。基本的にこれを拒む合理的理由を持っているのは、カミングアウトすると死亡する造反者本人だけです。これにより造反者が確定します。
 
共共診守交造隠首犠
?????○??死



2.次に、隠遁者には名乗り出てもらいます。注射器を2つ持っているはずなので、それを差し出せば、証明は簡単です。
 
共共診守交造隠首犠
?????○○?死





祐二
「いや、首謀者も注射器いっぱい持ってるぜ? そいつも出てくるんじゃねーの?」

レイ
“ああ、もし2本の注射器を差し出した人が2人いた場合、2本とも自分に注射するように言えばいいんです”

レイ
“隠遁者は薬と毒が相殺しますけど、首謀者は毒しか持っていませんから、確実に死にますよね。このケースだと、これでゲームクリアです。首謀者は隠遁者を騙らないほうが良さそうですね”

祐二
「お、おお……確かに」

つばさ
「しかしバッサリ言うなあ」





3.続けます。さらに、共有者が2人とも名乗り出ます。共有者は互いに証明できるので、これも確定。
 
共共診守交造隠首犠
○○???○○?死


レイ
“ここまでで、ノーリスクで4つの役割が確定しました”

レイ
“なお、首謀者が造反者や隠遁者を騙った場合、容疑者が2人に絞れるので、片方を診断者に調べてもらえば実質両方の役割が知れ、その時点でゲーム終了です”

レイ
“共有者を騙るのは不可能でしょうね。造反者が特定されている以上、証明してくれる相手がいないですから”


「いいよ、続けてごらん」

祐二
「……マジで必勝できそうじゃねーか」

大介
「いや、でもさ……」

レイ
“ふふ、言いたいことは分かります。でも、とりあえず最後まで聞いて下さいね”





4.診断者に名乗り出てもらいます。ここでもし、診断者が2人名乗り出た場合、片方は首謀者に違いありません。どちらが本物の診断者か調べるために、残る2人のうちどちらかの能力を調べてもらい、紙に書かせ、同時に公開します。もし片方が間違えたら、それが首謀者。とはいえこれは1/2で当てられますから不確実です。結局証明できなかった場合は、第三者に隠遁者の薬を投与した上で、片方を告発してもらいます。成功すればゲーム終了。もし失敗しても告発した人は死にませんし、改めてもう片方を告発して、ゲーム終了。



5.もし診断者が1人しか現れなければ、残りの3人に自分の職業を名乗り出てもらいましょう。守護者と交換者、どちらかが2人いるはずです。かぶった2人のうち、どちらが首謀者でどちらが本物か、診断者が調べて、終了です。





祐二
「すげえ! ホントだ! 歪みねえ!!」

璃々子
「本当に、最小限の被害に収まりますね……」

大介
「……」

ルナ
「……」

まい
「にゅふふふふ」

つばさ
「ふふふふふ」


「残念でした!」

レイ
“えええっ! 自信あったんですが……”


「いや、レイの方法でも解けるよ。でも、もっと簡単な方法がある」


「案があるわ。言ってもいい?」


「どーぞ」


0、1まではレイと一緒よ。犠牲者は助けられないし、全員協力的でないといけないし、造反者は特定する必要はあるわ。もし造反者が2人出た場合、診断者の力を借りて勝負を決められるわね。



2.次に、全員に自分の能力をカミングアウトさせるわ。みんな助かりたいんだから、ウソをつく必要があるのは首謀者だけよね? 結果、役割が被った奴が2人出てくるはず



3.被った2人で、お互いを告発し合ってもらうわ。首謀者はルール上、他人を告発することができないから、首謀者じゃない一方が首謀者を告発する形になる。結果、ゲームが終わるわ。






「お見事、正解だよ」


「ふふん」

レイ
“ああああ……ホントだ……! 私難しく考えすぎ……!”

祐二
「そんなにカンタンに……!?」

祐二
「……じゃ、じゃあ、俺たちがあんなに苦しんで悩んだのは……」

璃々子
「無駄だったってこと、なんでしょうか……?」

ルナ
「そんなことない。今の2つの攻略法は、机上の空論」

祐二
「ハァ?」

大介
「……ああ。多分、これがゲームボードの上なら、2人のやり方でクリアできる」

大介
「が、バタフライゲームの嫌なところは、閉鎖空間とはいえ一定の広さをもった会場を舞台とし、自分の命をかける点だ」

まい
「にゃはははは、さすが大介にルナたん。よく分かってらっしゃる」

祐二
「どういうことだ……?」

レイ
“私たちの攻略法には3つ大きなキモがあります。1つは前提でも言いましたけど、全員の協力、言いかえると首謀者と造反者以外は全員絶対ウソをつかないことです”


「1つは密談はしないこと、後の1つは『全員、作戦を信じて従う』ことかしら」

レイ
“その通りです”

璃々子
「……確かに、他のプレイヤーがみんなウソをついたら、訳がわからなくなるわね」


「そう。他にも攻略法が破綻するケースは複数考えられるわ。まず、命が掛かっていることから、プレイヤーが冷静さを失った場合」


「自分の身を守る意図で、事実と異なる役割をカミングアウトしたり、口をつぐんだりするかもしれない。パニックや暴動が起きたら話にならないしね」


「次に、攻略法を思いついた筋道立った説明でプレイヤーみんなを説得できるとは限らない。祐二みたいなアホは『???』ってなるだろうし」

祐二
「う……うるせーな……反論できねえけどよ」


「それに、疑り深いプレイヤーは騙されているように感じるかもしれない」


「結果、トンチンカンな答えやウソが返ってくるだけならまだしも、より理性的でない攻略方針が立っちゃう可能性がある」

つばさ
「例えば、『俺が判断して怪しい奴を殺す』とかね。こういうときは、理屈屋よりも、声がでかい奴のほうが意見を通しやすいんだ。他のプレイヤーがパニクってる時は、特にね」


「そういうこと。さらに、『密談しない』ってトコね」


「もし密談を許した場合、下手に猜疑心を煽ることになるし、首謀者が誰かを騙して味方につける可能性がある……こうなると作戦は根本的に崩壊するわ」

つばさ
「……とまあ、こういう手法をフル活用して、首謀者はゲームを攻略するわけだよ」

まい
「ついでに言うと、プレイヤー全員に『首謀者を殺す覚悟』も要るよ〜」

まい
「……過去のゲームだと、首謀者を特定した後、首謀者の泣き落しに引っかかって、無駄に死人を増やした例もあったとか」

大介
「全く……だから、死を握ってる奴は強すぎるんだよ……!」


「逆に言えば、『死という強力すぎる切り札』が無ければ、これはゲームにすらならない。首謀者にとって、かなり不利なゲームになってしまうんだよ」

まい
「そうだねえ。何人かの犠牲を厭わなければ、あてずっぽうで告発し合えば、高確率でゲームは終わるしねえ」

ルナ
「……そんなわけで、本編のボクらが滑稽すぎるってことはないの」


「もう少し賢く動くことは、できたかもしれないけどね……」

祐二
「うーん……あの状況じゃ、仕方ねーと思うけどな」

璃々子
「それに、私たちが全員で、ゲームに打ち勝ったっていうのは、大事ですよ」

大介
「……ああ、そうだよな」

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