ゾディアックゲーム……ってなんだ 

ゾディアックゲーム……ってなんだ


和馬
「ここは七緒、頼むぜ」

七緒
「頼まれました。僕の手にあるのは『ゾディアックゲーム』という没資料です」


「ぞでぃあっく? って何?」

征史郎
「黄道、のことだな」


「こーどー? きいろい道?」

彩音
「みっちゃんみちみちが点々とな」

みこと
「『空が晴れていた場合』のネタ禁止ーーー!!」

七緒
「……ごほん。黄道は天文学用語で、天球上で地球から見たときの太陽の通り道のことですね」

七緒
「詳しいことはじきに学校で習うよ。黄道に沿って十二分割した領域を黄道十二宮といい、そこに存在する星座……黄道十二星座と呼ばれるものは誕生月として非常に有名ですね」

くるみ
「……よくわかんない」

亮也
「おひつじ座とかてんびん座とかあるでしょ? あれのことだよ」

くるみ
「それならわかる!」


「くるみちゃんは何座?」

くるみ
「……」


「だめですよ!! 作者はぶっちゃけキャラの生年月日とか考えてないんですから!!」

征史郎
「あったほうがいいのだろうか? 皆様ご意見お待ちしております」

七緒
「だああああ!! 話が混線しすぎですよ!!」

七緒
「僕が言いたいのはこれ!! 『プリズナーゲーム』の前身ともいえるボツ案『ゾディアックゲーム』についてです!!」

一同
「「「えええええええええええ!?」」」

みこと
「そんなものが存在したの!?」

七緒
「ええ、したんですよ! 看守と囚人のモチーフなど、いくつも共通点があり、プリズナーゲームや『トガビト』を語る上では欠かせない下敷きってことです」

七緒
「……というか、ここにいる皆さんはほとんど『ゾディアックゲーム』案の段階でクレジットされていますね」

エレナ
「マジっスか!? あっしらそっちに出てくる予定だったっつーの!?」

和馬
「……没設定から黒歴史発掘されるなんて、どうしようもねー屈辱じゃねーか」

七緒
「まあそこまで大した掘り下げはされてませんけどね。ここではざっくりとその概要を語っていくことにしましょう」


・ゾディアックゲームのルール

七緒
「基本的には『人狼ゲーム』を複雑にしたものと思ってよいです。参加者には黄道十二星座……いや、十三星座を模した役割が秘密裏に割り振られ、それぞれに特殊なゲーム上の能力を持ちます。この能力は大アルカナ……タロットカードのモチーフも与えられているようですね」


「ふむふむ! 乙女としては星座とか言われると燃えますなあ!」

征史郎
「だが、今の説明でなぜ没になったかもう分かった」


「ええええ!? いいじゃないですか星座モチーフ」

和馬
「俺もたぶん分かったけどな……続けてくれ七緒」

七緒
「ええ。ちなみに、ルール上『おひつじ座』と『やぎ座』が対立関係にあり、各員は『おひつじチーム』と『やぎチーム』に分かれています。ひつじチームのほうが多数派、やぎチームの方が少数派ですが、どの星座がどう分かれているかは伏せられていますね」

七緒
「ひつじチームの目的は『やぎ座』を投票で処刑すること。やぎチームの目的はひつじチームの全滅」

七緒
「なお、ゲームプレイヤーは全員『投獄された星座たち』というモチーフになり、全員が牢に入ります。抑圧された環境のなか、看守に拷問を受けつつ、誰がどの星座でどのチームなのか、疑心暗鬼を募らせ、殺し合いを煽る……と」

七緒
「まあそんなところです」

みこと
「……」

エレナ
「……」

くるみ
「……なんか、よくわかんない」

七緒
「ですか」

和馬
「……あー、まあ、これが没の理由ってことだろーな」

征史郎
「うむ。モチーフがとっちらかりすぎである」

七緒
「まあ、そういうことです。これを作者ことamphibianが提案したとき、ナベDもディレTも今の3人と同じような反応だったそうですよ」


「あ〜……まあ、星座にタロットはともかくとして、ヤギとヒツジはキリスト教モチーフですし、それに加えて囚人と看守とか、ごちゃごちゃしてますか」

七緒
「そういうこと。それに、チームの分け方も役割内容も伏せられてるっていうのが、あまりに読み手からして不透明すぎるんじゃないかっていうのもあったね」

千鶴
「だから、よりシンプルに『看守対囚人』がピックアップされた『プリズナーゲーム』が採用されたってことね♪」

七緒
「まーそういうことです」


・キャストはなんと14人!!

征史郎
「作者はアホか。11人でヒイヒイしているのに14人とは」

七緒
「全くその通りですが、前作から進化した要素というので人数を大幅に増やすということがまず検討はされたようですね」


「まー立ち絵は多いほうが賑やかですからねえ」

亮也
「ここの11人は基本的にみんないるって言ったっけ?」

七緒
「……ええと、約1名ほど若干事情が違う人がいますが、基本的には」

和馬
「気になる物言いじゃねーか。なんだその事情って」

七緒
「それは後のコーナーで、皆さんの裏設定として出すことにしましょう」

彩音
「もったいぶんなー」

くるみ
「こわい……」

七緒
「ちなみに、オミットされたキャスト3人も我々と同一の高校の出身で、ややアウトロー気味な我々とそもそも対立関係にある風紀委員や生活指導教師という設定でした。彼らは、ゾディアックゲームでは『看守』とよばれる役でひそかに登場します……あ、ちなみにプリズナーゲームの『看守』じゃなく、どちらかといえば『執行人』にあたる役ですね」

くるみ
「ひそかに登場? あんなガスマスクつけて出てくるの?」

七緒
「そう、ゾディアックゲームの真実は、おひつじチーム、やぎチームの他に『看守』と通称される『さそりチーム』で構成されるゲーム。抑圧側である彼らも実はゲームに囚われたプレイヤーで、死亡の危険があり、ゲームに逆らう可能性もある、というわけだったのです」


「そのあたりが『トガビト』の看守と囚人の関係に移ったんでしょーねえ」

七緒
「なお、色んな工夫により、『看守がさそりチームである』ことはプレイヤーに分かりづらくなっていて、看守を1人殺して初めて謎が解け、その後看守と共謀してルール破壊を試みる、とかいった文脈も想定されていたそうですよ」

七緒
「……まあ、とりもなおさず複雑すぎたわけですが」


「デスゲームでなけりゃ、ちょっと面白そうですけどねえ。色んな能力があって」

七緒
「へびつかい座(運命の輪)の能力が『役割の入れ替え』だったりとか、プリズナーゲームに引き継がれた能力もいくらかあるようだけどね。もうちょっと整理できたら将来的に復活するかも……なんて作者がこっそり考えてるとかいないとか」

七緒
「ちなみにその他のボツ案として『バードケージゲーム』だの『ウィッチハントゲーム』だのいろいろ考えてたそうだけど、キリがないから割愛しますよ」


・物語について

和馬
「ちなみによー、『ゾディアックゲーム』と『プリズナーゲーム』で黒幕は一緒なのか?」

七緒
「……一緒ですね」

監獄長
『基本こんせぷとハ変ワラナイノネ☆』

監獄長
『アアアアアア!! りんちハヤメテ!!』

和馬
「何度やりゃ懲りるんだこいつは」

七緒
「ちなみに、この企画段階では僕らは『管弦部』ではありませんでした」

亮也
「へえ、何だったの?」

七緒
「……『少年非行研究会』だそうです」

みこと
「な……すごいもの研究する会だね……」

七緒
「我々は全員何らかの事情で浮いていて、しかも補導歴や指導歴、または表ざたになっていない犯罪歴がある、という設定でした」

七緒
「そんな我々の集まる場所として、並坂先生が作ってくださった居場所が、自己経験を開き直って研究発表するという『少年非行研究会』だったようですね」

和馬
「……」

征史郎
「なんだ、普通によくハマってるじゃないか」

みこと
「……みんな、後ろ暗いところはあるもんね……」


「ごほんごほん! いやでも実際、そんな設定があったのになんで管弦部になったんでしょー? 我々のほとんどは楽器も弾けませんのに」

七緒
「それについては……」

七緒
「……プリズナーゲームが決まった辺りで、タイトル案が出たんですね。ナベDが出したそれは『カエラズノトガビト』だったそうです」

亮也
「帰らずのトガビト……牢に行ったっきり帰ってこない、という感じ?」

七緒
「そういうことです」

七緒
「ところがここでディレTからの『ダブルミーニングっていいよね』というお言葉が。それと同時に『トガビトノセンリツ』という案をお持ちになったというわけです」

和馬
「ほほう……」

七緒
「……で、『センリツっていうからには音楽部がいいんじゃね?』というお言葉が」

和馬
「で無理矢理音楽部になったと」

七緒
「そうです」

和馬
「ゴリ押しじゃねーか!」

七緒
「作者がなんとかなるって言ったんです! ディレTは悪くない!!」

彩音
「まー実際なんとかなったしなー……とゆーことは竹井君のあの特技なんかは完全に後付けってわけだなー」

七緒
「そういうことですね」

七緒
「……ゾディアックゲームに話を戻しますと、この時点では首謀者の動機が『正義という概念の証明』であったり『人間の本質をあらわにさせる』であったり『刹那・快楽主義』であったりと定まってないようですね。このあたりが『トガビト』にどう影響を与えたかを考えてみても面白いでしょう」

七緒
「というあたりで締めてもよろしいでしょうか?」

和馬
「おう、お疲れだな」

七緒
「……こ、このくらい大したことありませんが」

ゾディアックゲーム……ってなんだ 


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